開催レポート》8年間の想いと未来への願いと共に、祈りを捧げた日

震災の翌年、2012年から始まった東京・日比谷公園での「ピースオンアース」。8回目を迎える今年も多くの方々に集まっていただきました。本当にありがとうございました。犠牲になった2万人近い方々への追悼と共に、想いを未来へとつなぐための“節目”として、また、ここから生まれたつながりを確かめ合う場として、今年も大勢の方々と心に残る刻を過ごすことができました。
ご参加いただいたた皆さんとお気持ちを寄せてくださったご縁ある方々に、あらためて深く感謝申し上げます。

 

会場を満たしたピースフルな音楽

前日の夜から当日の早朝にかけて激しい雨・風もありましたが、開場の頃にはすっかり穏やかな青空が広がり、暖かい日差し降り注ぐ中で、当日のプログラムを進めることができました。そんな中で会場の中心となった「ソーラーシェアリング・ドーム」では、屋根に配置された超軽量ソーラーパネルで発電した電気を使って、アーティスト達の思いを込めた音楽と、登壇者みなさんの深く響く言葉が行き交う開催となりました。

佐藤タイジ

ウォン・ウィンツァン

ウォン・美音志

Yae

谷崎テトラ

DJ AUTO

言葉で紡ぐ8年間、そしてこれから

音楽と共にピースオンアースで恒例のトークプログラムも、自然エネルギー、福島・南相馬における若者達のフェス開催の活動について、ゲストを招いて実施しました。
平日の日中にかかわらず集まってくれた多くの参加者が席を埋め、立ち見も出る中でゲストの皆さんからの言葉が、受け止める参加者の皆さん一人一人が考えていく未来と世界について大事なヒントを投げかけてくれたのではないでしょうか。

「新しいエネルギーから未来のムラへ」

上記タイトルのプログラムに登壇していただいたのは、ミュージシャンのSUGIZOさん、太陽光発電メーカーWWB株式会社 代表取締役の龍潤生さん、匝瑳ソーラーシェアリング技術者の東光弘さん、ISEP環境政策研究所所長の飯田哲也さん。
冒頭での「今日という日が、新しい時代の始まりの日、お正月になるように、皆さんと情報交換して行きたい」という東さんの言葉に、会場にいる人々の顔が輝き始めたのが、とても印象的な対談プログラムでした。

壇上で想いを語るSUGIZOさん(写真上:右)、龍潤生さん(写真上:左)

WWBソーラー龍潤生さんからの、地球温暖化を防ぐためにビジネスとして太陽光発電に取り組んできたこと。今回のソーラーシェアリング・ドームで使われている超軽量ソーラーパネルが今後の生活環境にフィットして広がっていく可能性が大きいというお話しに、SUGIZOさんは自然エネルギー電源による音質の向上、アーティストの意志とファンの共鳴が個人の満足と環境問題の解決の希望になると応えてくれました。さらに、東光弘さんは太陽光を農業と発電エネルギーとしてシェアする新しい仕組み「ソーラーシェアリング」を、地域の人たちとも豊かさを分かち合う“心あるエネルギー”として参加者に紹介してくれました。さらに、ISEP飯田哲也さんは最近の世論調査で原発に賛成する人がわずか1%にまで減っているという日本原子力文化振興財団の統計を、この8年間での世の中の決定的な変化として伝えてくれました。満席の参加者の皆さんにとっても、対談の40分はあっと言う間に過ぎていったのではないでしょうか。

東光弘さん(写真下:右)、飯田哲也さん(写真下:左)。

 

南相馬と騎馬武者ロックフェスと若者たち

震災当時から福島県南相馬で暮らす中村マキさんをゲストに、福島での暮らしや、彼女が地元の若者達と主催する「騎馬武者ロックフェス」kibamusha-rock-fes.com について話を聞きました。
司会から「8年経ったからこそ、やっと聞いてみようと思えた」と切り出された、福島原発事故当日の避難の様子や、原発から20km以内の町に再び暮らしはじめる想いが、静かに深く語られる言葉には、聞く側にとっても震災から8年の重みがあったように感じます。
また、多くのボランティアさんたちのリーダーとして、様々なイベントで活躍する“ジェイ”こと小野口淳也さんも登壇。ピースオンアースがきっかけで、「騎馬武者ロックフェス」のボランティアに飛び込んだこと、現地でとても温かく迎え入れられて、「ありがとう!」と言ってもらえたことに、自分が少しでも力になれた実感を持てたことなどを語ってくれました。

騎馬武者ロックフェスを主催する中村マキさん(写真中央)、ピースオンアース、石巻リボーンアートフェス、アースガーデンなど、多くのボランティ活動でリーダーとして活動する“ジェイ”こと小野口純也さん(写真左)。

「EVERYDAY EARHDAY〜地球1個分の暮らし〜」
アースデイ東京2019記者発表

また昨年に続き、毎年開催されている市民によるエコロジーの祭典「アースデイ東京」earthday-tokyo.org の開催記者発表も行われました。
今年のテーマは、「EVERYDAY EARTHDAY 〜地球1個分の暮らし〜」。いまの日本人の暮らしを、全世界の人がしたら、地球が2.8個必要になるそうです。
アースデイ東京は、そうした現実を、少しでも変えて行くために、日本の社会を見直して最適化していくアイデアや活動を共有する場です。
自身が育てた長野・黒姫山の森に被災した子供達を招き、それがきっかけで宮城県東松島市に「森の学校」を作ったC.W.ニコルさんや、アースデイいのちの森実行委員長を務める野中ともよさん始め、実行委員会の有志によるイベントの紹介も行われ、ピースオンアースにとってもより大きな未来に向けて希望となるエネルギーを伝えてくれたのではないでしょうか。

 

そして2020年、9年目の3月11日へと

震災から8年、その想いと向き合い方はそれぞれなのですが、平日昼間の開催にもかかわらず本当に大勢の方々が日比谷公園に集ったことそのものが、月日が経ってもなお私たちが3月11日と向き合い心に刻む意味を表していたように思います。
来年、元号が「令和」となり東京オリンピックも迫る2020年、震災から9年の新しい時代の“3月11日”を私たちがどのように迎えるのか、2020年3月11日のピースオンアースの開催へと、一日一日を毎日を歩んでいこうと思うのです。

 

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私たちのボランティアの仲間
照井津久美さんに対し、謹んで哀悼の意を表します。

この開催レポートの最後に、ひとつ悲しいご報告があります。
すでにご存じの方も多いかと思いますが、私たちピースオンアースのボランティアの仲間でもあった照井津久美さんが、3月26日に不慮の事件でお亡くなりになりました。
ここに謹んで哀悼の意を表します。

照井さんは、先日3月11日の日比谷公園にも参加されて、私たちと共に今回の311大震災から8年目の場づくりをご一緒し、彼女なりの場づくりと追悼を表してくれていました。東北にも暮らした彼女の想いと共にピースオンアースのボランティアにも参加してくれていたのだと思います。
彼女が私たちに渡してくれた在り方と共に、これからの私たちの活動を未来へとつないでいきたいと願っています。

彼女と過ごした刻と、ご遺族の癒えぬ想いに寄り添って、
ピースオンアースから彼女へ、感謝の想いを伝えたいと思います。
照井さん、本当にありがとうございました。

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